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千年ぶりの再会

 伊仙町では約千年ほどむかし、「カムィヤキ」という焼き物が焼かれていました。灰色の波線が描かれた陶器です(赤茶色のものも少しあります)。この焼き物は当時とても流行しており、海を越えて沖縄や鹿児島にも運ばれていました。


 「カムィヤキ」の生産地である伊仙町では、とにかくいたるところからカムィヤキが発見されます。かつては「田んぼに散らばっており、田植えの際その焼き物で足を切った」という話もあったそうです。


 さてさて、そのカムィヤキの窯跡は昭和58年に発見され、調査がすすめられました。さすが生産地、されど生産地というべきでしょう。案の定、尋常ではない数のカムィヤキが発見されますが、それらは売り物にならないひしゃげた製品であったり、失敗品であったりします。そして完全に形を残したものはほとんどなく、全て破片であったりします。(モノとしては悪いですが、研究対象としてはこの状態も含め重要なのです)


 これらは資料館に持ち帰られしばらく眠っていたのですが、ついに目覚めさせる時がきました。大量に持ち帰られた破片の中から、同じ個体同士を見つけ、くっつける。この作業を「接合」といいます。


 私たちにとっては終わりのないパズル、

 彼らにとっては失われていた自分を取り戻す、運命的な瞬間なのです。




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